風俗の描かれた扇面


室町時代は扇絵が盛んでさまざまな絵柄が扇面に描かれた時代でした。日本最大の商工都市であった京都では、四季の諸行事や人々の日々のいとなみを題材にした扇絵が好まれ、扇は贈答品として珍重されました。室町時代の京都のありさまが扇絵のなかに数多く表現されています。

年中行事のなかの扇


人間のいとなみは自然とのかかわりから始まります。京都の祭・花見・狩り・神事などが風俗画としてさまざま描かれました。
そして田植えの豊作を祈る祭もまた人々にとっては欠くことのできない大切な行事です。田植え風景を描いた絵のなかでは、苗を植える女たちのそばで扇をもった男たちが笛や太鼓のお囃に合わせて豊作祈願の踊りをする姿が描かれています。

祇園祭礼のなかの扇

京都の祇園祭はその優雅さ、盛大さにおいてまさにみやこの祭の象徴であり、祇園祭を題材にした風俗画は数多く描かれました。そして京都の夏の祭、祇園祭には扇をもった人物が随所に表わされています。

遊楽図のなかの扇

花見・酒宴・踊り・遊びなどは人々の心が解放されるひとときです。遊興のなかに人々は明日への力の源を生みだすのです。舞いや遊びに興じる人々の手にも扇をみることができます。

かぶき見学のなかの扇


慶長八年、京都の北野社の境内では出雲の巫女を名乗る一座が舞台で「かぶき踊り」なるものを演じ人々を集めていました。見物人のなかにはときには坊様や扇を手にした身分の高い人々もみられました。

かぶき舞台のなかの扇


「かぶき踊り」から始まり、「女かぶき」「遊女かぶき」と変化した後、寛永十八年ついに遊女かぶきの禁令がだされました。
そして次には少年たちによる若衆かぶきが登場し、その後現在の成人男子によるかぶきへと変わってゆきます。揃いの日の丸の扇を手に舞いを披露する役者たちが描かれています。